社会貢献とCSRの違い、BOPビジネスの違い


BOP戦略フォーラムさんのBLOGで(最新バングラ情報が日本語で見れるすごいサイトです)

http://bopstrategy.blogspot.com/2009/12/bopcsr.html

CSRとBOPを混同しない、ということで記事がありました。

もしご関心があれば、ぜひ見てください。藤井さんのことにも言及されていました。

(ちなみにこちらのBLOGにコメントやトラックバックをするにはIDが必要なのでトラックバックできずにすみません。)

一応、私もSRIのアナリストとして働いていた(今は離れていますが)ので、日本企業、海外企業のCSR事情をずっと追い続ける毎日だったのですが、こちらの違いについては国によってかなり感覚が違うという印象があります。

CSR活動を何百社分も見てきたので、頭の中にいくつかの整理条件がありますが、大体以下のような感じです。

①コンプライアンス…労働問題や環境などについて法的な規制に基づき、きちんとした配慮を行っているか。(=つまり自分たちのビジネスが法的な範囲で行っているかのチェックなので、当然といえば当然ですが、ここがしっかりできていないと次が難しいです。)

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②ステークホルダーへの配慮…コンプライアンス以上だが、たとえば従業員の福利厚生や教育、キャリア支援や地域に工場を公開して社会科見学にする、工場の周辺に植林し生態系を守る、など。

③社会貢献(Social Contribution)…寄付やNPO/NGOとのパートナーシップで行う慈善事業など。金銭だけでなく、人材、物資や機会の提供なども含める。自らのPR活動にはなっても収益はない。

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④バリューチェーンの改善…上記のステークホルダーへの配慮から一歩進んで、実際のビジネスのバリューチェーンの改造を行うに至ったケース。例えば従業員の福利厚生や研修などから、オペレーションの改善にまでアイデアが至り、業務の効率化や仕事時間の多様化などの改善を行うケースもある。

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⑤サステイナブルビジネスへの発展…上記の環境対策、バリューチェーンの改善や社会貢献などの経験から、次第に着想を得て、他社や地域にも販売できる製品やサービスの研究開発に繋げていく。環境規制に対応したロジスティックスを自社内で開発して利用していたものを、より多くの企業が使えるように商品化したり、NPOとの関係から社員が着想を得て、育児支援の製品やサービスを開発するに至ったりすることも含む。

厳密にはもっといろいろあると思いますし、同じアナリシスをしている人たちの中でも、こだわりをもってやっている箇所が違ったりしますので、少し段階はひとそれぞれ違ったりするかもしれません。ここではBOPビジネスとの違いを考える上で必要な違いを意識して、記載してみました。

コアビジネスとの関係性でいうと、特に①はもちろん関係しますが、④、⑤は強く関係してきます。

そして、ここまで来ておわかりかもしれませんが、⑤というのをCSRって呼ぶの?というところで、いろいろ議論が分かれるのかもしれません。それがお国柄ってやつでしょうか。

例えば、先日欧州のBOPをやっている人たちと話した時に、アメリカと違うよねーって話になりました。プラハラードの最新原稿の中でも、「CSR」を「社会貢献」寄りで捉えているところが多く、その延長線上で考えると、⑤とか④とかは全く、CSRの範疇に入らないのです。そこで、かなり明確に切り分けているねえ、という話をしていました。

一方で、欧州ではCSRにどこからどこまでという区切りを明確に設ける意識は少なく、「CSRはjourneyだ」(VigeoのSRIアナリストの佐久間さんも昨年日本に帰国された時の講演でおっしゃっていました)という感覚が強い。つまり、どこかへ向かう旅なんですね。

なので、プラハラードの論文とか読んでいると、頭が混乱してくるのだとか。CSRと書いてあるのに、コアビジネスと明確に切り離されているので、なんで?と思ってしまう時がある、と。

欧州では、多くの場合、CSRはコアビジネスにサステイナブルな要素を持ちこんでIncludeしていくためのjouneyですので、NGO・NPO側との協同も時間をかけて行い、少しずつ関係を構築し、その中で良いアイデアやチャンスがあればバリューチェーンに組み込んだり、一緒に商品化したりする。

アメリカの企業がすべてそうとは言い切れませんが、欧州の場合、NGOとの協業にしても、「こちらの条件はこう」「そちらの条件はこう」だから一緒にやるのが合理的ですね、という交渉の形には至らないのですね。

BOPビジネスに関してもそうです。数年のスパンをかけて、関係を構築する。そうしないと、そのコミュニティの中には入っていけないのです。日本のアジア的ビジネス手法となんら変わりないですね。

こうしたバックグラウンドがあり、欧州で話していると「市場戦略としてのBOPビジネス」という概念があまり強くありません。それよりもバックに、こうしたCSRの脈々と続くJouneyがあってこそ、BOPビジネスに参入していく要素が社内の中で育っていく、という感覚もあるのかもしれません。

でも、S.Hartも、サステイナブル企業の研究をしている中で、そうした企業になるためのJouneyとしてとらえている部分があり、そこらへんは、アメリカの中でもかなり学派によって違うんですね。Ted LondonやS.Hartにも会いましたが、二人とも「ま、プラハラードはプラハラードだからね。There is more than Prahalad in this BOP world.」みたいなことを言ってました。なので、BOP研究者たちは、プラハラードだけが広く読まれるのに対しては警戒しているのが現状です。

日本はどうかというと、欧州よりなところもありながら、やはりCSRの概念はアメリカの思想をベースに作られているところもあるなあ、と思います。特に、BOPビジネスの文献はアメリカのビジネススクールがやまほど出してきていますから、そこが思想のベースになりやすいです。

(しかし、私もこの分野を研究しつづけて思っていたのですが、アメリカのビジネススクールの文献は、どれも使い古し、使いまわしのケースを事例にしていることが多く、どうにかならんもんかなあ、と思っていたところ、現地で調査をした時に聞いてみたら、調査に来たよ~、という人と話をしていたら、調査内容が当事者のビジネスモデルとピントがずれていることもあり、調査課題や仮設を決定してから現地入りしているせいでしょうか、あまり当てにならないものもあるかもしれんなあ、という印象でした。また、現地入りせずにビジネスモデルだけをとりあげて書かれているものもあるので、気をつけた方がいいかもしれません。)

ということで、じゃあ日本ではCSRとBOPはどう区別するの、と言われることがありますが、ここに「こうすべき」というアイデアはないんですね。私の場合、すみません(笑)

一概に、CSRがないとBOPに至らない、というわけではありませんが、それらが一つのパスの上に乗っていることだってあっていいのではないかな、と思う今日この頃です。

そこらへんの違いについては、正直、会社のプロジェクト担当者の考え方、事業予算によって現実的には綺麗な机上の空論ではいかないことが多々でてきますし、現地との関係性によっても違ってきますね。ケースに応じて使い分けるのがベスト、といったところでしょうか… 笑

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