ポール・ポラック「世界一大きな問題のシンプルな解き方」来週出版、その背景


Out of Povertyの ポールポラック、と言って、分かる人は、BOPマニアック度が高いに違いない。もの作り系の人には、たまらない面白さを提供してくれる話者、実践者、そしておじいちゃんである。

今、BOPビジネスを考える人たちに、ちょっといいニュースがある。それはこのおじいちゃんの本が日本語化される、ということだ。つまり、ようやく「本物の」コミュニティとの恊働するイノベーションに関する書が日本語となって、出版される。

Out of Povertyは、International Development EnterpriseというNGO を創設したPaul Polakの著書。その日本語版が来週日本でも発売される。

「世界一大きな問題のシンプルな解き方」

 

私もあとがきを書かせていただいたので、是非ごらんになっていただきたい。

日本での様々な文脈からアプローチされる、多様なBOPビジネス論がわき起こる中で、何か勘違いされているのではないか、という危惧をぬぐい去れない時期が、この1年ほど続いている。

今まで日本語で出版されたり、雑誌に取り上げられたBOPビジネスの書籍は、ほとんどがビジネススクールサイドの議論をカバーするもので、研究者、アカデミックが執筆したものが多い。ケーススタディはほとんどがそうだが、本当に語られるべき詳細が簡略化され、美化されやすいモデルへと昇華されてしまっている。BOPビジネスを語る分野において、「本当に現場に行って、コミュニティと暮らし、ビジネスを作り上げてきた実践者」が書く、リアリティのある書籍が一切ない。(本当に、全くない、と言っても過言ではないと思う・・・)だから、議論も偏る。英語でネットで探せば、山のようにあるが、日本語の書籍で得られる情報は本当に偏っていた。

これは私の感覚的な危機感だったのかもしれない。だが、MITの遠藤さんも似たような危機感を持っていた。二人で、今の議論はちょっと違和感を感じますね、という話をしていた。

二人とも、ポール・ポラックということで繋がり、そして、すぐに「この本が日本に今すぐにでも出版されなければいけない」という、強い共通の危機意識を持つにいたった。そうして、日本語化を考えていたのが、ちょうど1年前だった。遠藤さんから相談を受けたころ、私も英治出版の高野さんに無いものねだりで「この本は面白いですよ」と話していた。

いろいろ紆余曲折はあったのだが(一時は出版は遠いかな、という話になり、遠藤さんはご自身で日本語訳することを考えていた)結局、英治出版さんで出版していただける運びとなった。ポールに日本語出版する際に前書きを1章追加してもらうというところも、私と遠藤さんとポールで画策した。最初は専門書で読みにくい、という扱いだったが、さすが英治出版さんは学校のテキストとしても使えるくらい読みやすいものに仕上げてくださった。

 

今回、この過程で得られたのは遠藤さんとスカイプで色々話した時間だった。最初の構想段階から、誰よりも熱い熱意をもってこの本の出版を推進して来た、遠藤さんの寄稿を読むのも楽しみだ。(実はまだ遠藤さんの原稿はシェアされていないので、読んでいないので楽しみである)こういう機会でもない限り、ボストンにいる遠藤さんと色々思想や感覚的なところまで、シェアする機会は持てなかったと思う。大変ありがたい機会だった。

英治出版のみなさん(今回は下田さん、そしていつも通り、高野さん)も本当にご尽力いただいて、震災後のばたばたの中でも色々と真剣に議論につきあって頂いた。特にタイトルや一言一句、著者でもないのに文句を言う私や遠藤さんに、最後までしっかりと議論につきあっていただいたことに感謝している。

 

本当におつかれさまでした!

この本が出たことで、日本の中で一つ違う議論のあり方が生まれることを期待しています。

 

ポールと会った時のことは、そのあとがきにも書いた。

非常にハートウォーミングで、今でも心に残るやりとりがあった。私が今、常にに悩んでいることについて、彼と話すことができたのは、非常に面白い経験だった。現在の、BOPビジネスに関する流行廃りの著しさなどへの懸念、コミュニティをしっかりと見る人が少ないことへの危惧、それぞれを真剣に語り合いながら、今後世界はどういう方向に転がって行こうとしているか、そんな話をした。

彼に、私がしているプロジェクトについても話をした。新規事業として、イノベーションとして捉えること、コミュニティに長期足を運び、発想を豊かにしていく過程を作り出すこと。

私が現在実践している、こうした試みは全て、ポールや様々な研究者や実践者からアドバイスをもらいながら、だが、日本企業や日本の組織が受け入れられるサイズ、概念に沿って、プロジェクトをデザインしている。そのため、無理を最小限に抑え、着実に次を作り出すことが出来ている。この「塩梅」が非常に難しいのだが。

「どうして詩野は、そういう(一緒に理念を共有して働けるイノベーティブな)企業を見つけるんだい?」と言われたので、大変でした、と伝えた。(というか、今もまだ大変です。)そう簡単に、多くの企業は「イノベーション」という言葉を信じてはくれないし、people’s powerを信じてはくれません。ただ、信じることができるイントラプレナー達に出会えるからこそ、こうしたイノベーションが起きる過程を作り出して行くことができるのだと思います。そんなことを話すと、目をきらきらさせながら、「そうか、日本のイントラプレナーか、それはいいね!」と頭の回転が高速で始まる。「それなら、IDEのあのプロジェクトと、、、、、」と今度は自分達のフィールドで、企業と連携することで面白いものが生まれそうなプロジェクトを頭の中でひねくり回し始めた。

とても御年77歳には見えない。

 

その彼が、TEDで4月に「新世代の企業」について語っている。オールドファッションな物言いもあれば、彼らしいウィットにとんだ見方も入っている。

ここまで多くの企業人に尊敬を集めた、ポールならではの、非常に真摯で辛辣で、丁寧で、嘘のない、企業に対する次世代への喚起と警鐘。

 

 

そしてこのビデオの最初の一言。「18歳のバージンの脳みそと、77歳の体。」まさに、ポールポラックそのもの。これからポールとIDEのスタッフ達に、日本版が出るよー!とメールをするのが楽しみでしょうがない。

 

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